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〜 LED表示機を実際に作る
(丸ノ内線02系再現) 〜


OB HOZULAB

1. 概要

 鉄道に興味がある人の中でも、写真1のような電光掲示板や写真2のような行き先を表示している内容を再現したい人は多いであろう。そういった方のために、技術系の人のみならず、多くの人が扱った事があるであろうArduinoを用いて、ドット絵による、丸ノ内線02系のLED再現の方法を紹介する。
 ただし、電子工作初心者である方が多いであろうから、そういった方でも行えるような半ば非常識かもしれない方法を用いるが、承諾いただきたい。
新宿駅の表示板

写真1 新宿駅の表示板
丸ノ内線02の表示機

写真2 丸ノ内線02の表示機


2. 機材の調達

 今回使用する機材は、全て秋葉原で入手することができる。
 既にネット上では中華からの購入例も有り、より魅力的な物もあるが、より手軽に作れるという面からこの手段を採用する。
 また、今回はArduinoを事前に持っていたり、Arduinoを多少使ったことがあるという前提で進めていくが、初心者向けとしてArduinoを入手する方法から書いておく。
 機材について(Arduinoからすべてを購入する場合)
  • Arduino
  • RGBフルカラードットマトリクスLEDパネル 16×32ドット
  • 5V2Aの電源アダプタ
  • LEDパネルとArduinoを接続するケーブル
  • LEDパネルと電源アダプタを接続するケーブルまたはコネクタ
  • USBケーブル
  • (今回は手持ちの試験的に行ったので、ブレッドボードも使う)
機材一覧

写真3 機材一覧

2-1. Arduinoの入手

 今回使用しているArduinoは、aitendoで販売している液晶付きのセットを利用している。ただし、Arduinoの互換品である。
「びんぼうでいいの with LCD」モノクロLCD

写真4 「びんぼうでいいの with LCD」モノクロLCD
「びんぼうでいいの with LCD」カラーLCD

写真5 「びんぼうでいいの with LCD」カラーLCD
 これらのセットは、Arduino互換品とLCDのセットで、LCD付だと999円(税別)からなどと、純正Arduinoを購入するよりも遙かに安い。
 しかし、セットとは言え自身でピンソケットやスイッチ等の半田付けは必須である。
 また、液晶を表示させると、次のようにも遊ぶことが出来るが、写真の紹介のみにして省略する。
 そのほか、Arduino互換ボードのみがほしい場合は、aitendoのリモコン解析セットを購入すると良いであろう。
モノクロの表示例

写真6 モノクロの表示例
カラーの表示例

写真7 カラーの表示例
 なお、今回使用するのはArduino互換品の部分だけであり、LCDは使わない。

2-2. RGBフルカラードットマトリクスLEDパネル 16×32ドットの入手

 秋月電子にて、RGBフルカラードットマトリクスLEDパネル 16×32ドット2880円(税込み)を使用。
 写真9、LEDパネルの袋の中には、LEDパネルに接続する信号ケーブル、電源ケーブル、マグネットが入っている。
LEDパネルと電源(開封前)

写真8 LEDパネルと電源(開封前)
LEDパネルと電源(開封後)

写真9 LEDパネルと電源(開封後)

2-3. 電源アダプタの入手

 秋月電子にて、5V2A 580円(税込み)のアダプタを使用。

2-4. ケーブルやコネクタなど

 今回はaitendoで店頭販売していた20Pinケーブル 100円(税別)と、秋月電子で販売している電源コネクタを使用した。
 USBケーブルについては俗に言うA-Bケーブルを使う。持っていなければダイソーで買うことができる。


3. ハードウエアの組み立て

 難しい事はないが、ArduinoとLEDパネルを接続するケーブルを組み立てる。
 本来ならば、LEDパネルのデータシートを見ればいいが、わかりにくい。また、今回、この場で配線図を書くのも億劫なので、カラフルなケーブルを用いて、写真にて紹介する。
 作り上げる物は完成写真として写真10に記載する。
完成写真

写真10 完成写真
 最初に、LEDパネルに付属している信号ケーブルとaitendoで購入したケーブルを接続する。信号ケーブルにはコネクタに向きがあるので要注意。
 本来ならピン番号順につなげていくのが一般的であるが、今回は写真11の様にコネクタの奥側から接続する。次に、写真12の様に手前の所に接続する。
奥側

写真11 奥側
手前側

写真12 手前側
 次に、Arduinoと接続する側をまとめておく。(特に必要ない工程ではあるが、ケーブルをまとめておく事で後々楽ができる。)また、あまり好ましくないが、セロハンテープを用いた。
まとめ方

写真13 まとめ方
まとめ方

写真14 まとめ方
 写真13および写真14では、撮影用に余分な部分は隠してある。
まとめた後

写真15 まとめた後
 また、写真16のように、使わないピンについては、先端がどこかに触れないようにテープで先端までをまとめておくといい。
不要なピンの処理

写真16 不要なピンの処理
 ケーブルの組み立てが終わったら、Arduinoにケーブルを接続する。
接続写真

写真17 接続写真
接続写真

写真18 接続写真
 そして、このようになる。
接続後

写真19 接続後
 また、電源についても電源アダプタの線と電源ケーブルをつなげる。(写真は、おすすめしない方法を用いている。おすすめの方法としては、電源アダプタのコネクタ受けがケーブルと一体になってる物などを選ぶ。電源ケーブルの片側を切断し、コネクタと接続するのがベスト。)
電源周り

写真20 電源周り
 そして、パソコンとArduino、ArduinoとLEDパネル、電源とLEDパネルをそれぞれ接続する。
接続写真

写真21 接続写真
 これで、ハードウエアの準備は終わりである。


4. ソフトウエアの組み立て

 流石に、ArduinoIDEのインストールから書くと本記事が膨大になるので、省略する。
 最初に使用するLEDパネルに必要なライブラリを秋月電子のサイトよりダウンロードする。
秋月電子のサイトより

図1 秋月電子のサイトより
 ダウンロードしたらArduinoIDEの[スケッチ][Include Liblary][Add .Zip Library]より、ダウンロードしたZIPファイルを選択し、開く。
メニュー画面

図2 メニュー画面
選択画面

図3 選択画面
 そして、図4の様に、[ファイル][スケッチの例][RGB-matrix-Panel-master][testshapes_16x32]を選択し、図5の画面が出てきたら、図6の様にポートを指定して、左上の方にある→を押してマイコンボードへの書き込みを行う。
スケッチの例

図4 スケッチの例
スケッチの例

図5 スケッチの例
ポート確認

図6 ポート確認
 書き込みが終わると、写真22のようになる。これで、ひとまず完成である。
表示例

写真22 表示例


5. 点灯

 さて、「16x32 *RGB*」という表示が出来るようになったが、今回は、あくまでドット絵をすることである。そのため、プログラム上に次のような文字列がある。次のような仕組で、1ドットを表示している。(図7)
説明図

図7 説明図
 このようにして、ドットのプログラムを書いていけば、ドット絵をLEDパネルに表示させることは簡単である。
 しかし、いちいちプログラムを1文字ずつ入力していくのは何とも面倒なことである。そのため今回はExcel上でドットを表現したい部分に特定の文字を入力したら、プログラムを生成できるようにした。(とくに難しいことはしてない)
 配布するExcelファイルについては、以下のサイトよりダウンロードできる。

配布サイト

 そして、Excelの中身についての説明に入る。
 画像8の左側の四角い欄に表示したいドット位置に「1」を入力する。すると、左側の欄に文字が表示される。(図8では、「中野」を作ってる)
中野

図8 中野
 そして、図9の様に生成された部分をコピーして、メモ帳などに貼り付け(図10)、必要に応じて改行やタブを消し、更に必要に応じて、表示カラーを書き換えたりし、分かりやすいように関数化し(図11)、図12や図13のようにAdruino IDEのスケッチに書き足し、マイコンへ書き込みを行えば、その通りに表示される。
生成をコピー

図9 生成をコピー
編集

図10 編集
関数化

図11 関数化
Arduino IDEに書き込み

図12 Arduino IDEに書き込み
Arduino IDEに書き込み

図13 Arduino IDEに書き込み


6. 丸ノ内線の再現

 最後に、丸ノ内線の再現について行う。
 はじめに、丸ノ内線は16x64で表示されている。そのため、写真23の様にパネルを2枚に増やせば再現が可能である。
2台と2枚のLEDパネル

写真23 2台と2枚のLEDパネル
 ここで、予め書いておくが、Arduinoを2台使用して行う事はあまり効率が良い方法ではない。RaspberryPiを1台でパネルを駆動させる方法などもある。しかし、初心者には分かりやすいので、2台を使用する方法を用いた。
 これが実際メインの内容であるが、これまでの事を全てやり遂げなければならない。
まず、ドット絵を描かねばならない。今回は、様々な方法を用いてドット絵を作り上げた。(全てが正しいドット絵とは限らない)(図14)
ドット絵

図14 ドット絵
 今回は、誰でも再現できるように丸ノ内線行き先表示の全てと思われるドット絵を用意してある。以下にそれの使用方法も書く。
 まず、図15のように、選択したい部分をコピーする。そして、図16のように「1」を入力していた所に貼り付け、後は前述した通りである。
画面例

図15 画面例
使用例

図16 使用例
 そして右のパネル用と左のパネル用にデータをそれぞれ書き込み、表示が終わる。
 次のアニメーションは、それぞれの行き先を1枚1枚写真に収めてアニメーションにした物である。(gifアニメなので、画像単品をWindows上で開こうとすると、アニメーションが開始されない場合がある)
丸ノ内線行き先表示の例

図17 丸ノ内線行き先表示の例
 尚、丸ノ内線の再現に必要なファイルは以下のURLよりダウンロードが行える。

配布サイト

 また、配付資料はそれぞれ右のパネル用と左のパネル用にhozu_marunouchi_r.inoとhozu_marunouchi_l.inoがある。
 それぞれloop()の中に行き先を呼ぶ命令を用意してある。
 表示させたい行き先の所の//を消して、書き込めば表示できる。既に表示されてるものは、//を書き足しておくと表示されない。ただし、メモリの関係上、同時にいくつも表示させるのは困難である。
 また、配布ファイルでは「新中野」を表示するようにしてある。


参考文献
  • HOZULAB:「なければつくればいいじゃない LED表示機」、http://nakerebalab.blog.fc2.com/blog-category-65.html、2015年8月参照
  • 秋月電子:「RGBフルカラードットマトリクスLEDパネル 16×32ドット」、http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-07764/、2015年8月参照


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