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〜 外房線乗車録 〜

海洋建築工学科2年 4034番 Y.K

1. 序章

 そもそも外房線とはどのような路線なのか。JR東日本の路線である外房線は、千葉県千葉市に所在する千葉駅から、大網、茂原、大原、勝浦と太平洋側の街を経由し、同県鴨川市の安房鴨川駅までを結ぶ、全長93.3kmの路線である。開通は明治29年で蘇我〜大網間が結ばれたのが最初であった。その後同年中に蘇我〜千葉間、明治30年に大網〜一ノ宮(現:上総一ノ宮)間、大正2年には勝浦まで開通した。順調に線路を伸ばしていったが、安房鴨川まで至り全線開通となったのは昭和4年と、最初に開通した年に比べて遅い。千葉〜安房鴨川間が全通すると、同区間を東京湾回りで結んでいた現内房線と合わせ、房総半島を一周する環状線、房総線の一部となった。その後昭和8年に環状線の太平洋側、千葉〜勝浦〜安房鴨川間が房総東線と名前を変え、昭和47年の全線電化に合わせ現在の外房線の名称に改められた。
 房総半島の太平洋側を走る外房線は、同半島の東京湾側を走る内房線とともに、千葉県を走る重要な鉄道路線であり、沿線には魅力も多い。本記事は筆者が実際に外房線に乗車した時の旅程をそのまま記事にした。風光明媚な南の区間を中心に乗り降りしたので、外房線とその沿線の魅力を、本記事を通して感じていただければ幸いである。


2. 往路(千葉→安房鴨川)

2-1. 千葉08:18発237M安房鴨川行

千葉駅で発車を待つ237M列車(手前)

写真1 千葉駅で発車を待つ237M列車(手前)
 千葉駅は今回乗車する外房線の起点である。ここから外房線の旅が始まるわけだが、今回千葉駅から乗車するのは08:18分に発車する237M普通安房鴨川行である。実はこの列車、千葉県が舞台となっている某きんいろアニメで登場人物達が乗ったであろう列車であり、その登場人物達はこの列車で御宿と思しき駅まで乗っている。せっかくなので筆者もこの列車で御宿まで向かうこととした。
 列車は定刻で千葉駅を発車。取材した日は土曜日でかつ夏休み期間でもあったので、車内は九十九里や南房総方面へ向かう旅客で始発の千葉駅から混雑していた。本千葉を過ぎ程なくすると蘇我駅に着く。ここでかつて同じ路線であった内房線と分岐し、安房鴨川駅で再び繋がるまでしばしの別れである。ここから大網までは住宅街が続き、利用客は多い。
 茂原まで旅客の出入りがそれなりにあったが、筆者の座る先頭車両の旅客はほとんど入れ替わりを見せず、第一の降車駅である御宿まで大きな動きはなかった。

2-2. 御宿08:18着

南国を思わせる御宿の駅舎

写真2 南国を思わせる御宿の駅舎
 御宿で降りるとそれまで動きの無かった旅客たちも1/3が下車した。それもそのはずで、御宿は動揺「月の砂漠」発祥の地であり、開けた海と白い砂浜が人気の海水浴場があるからだ。駅から海に向けて10分ほど歩けば浜辺に到着する。乗客のほとんどはここが目的地のようだ。駅からほど近いのも理由だろう、海水浴シーズンも相成って浜辺は多くの人でにぎわっていた。次の夏は是非御宿で、海のレジャーを楽しまれてはいかがだろうか。
多くの人でにぎわう御宿の浜辺@

写真3 多くの人でにぎわう御宿の浜辺@
多くの人でにぎわう御宿の浜辺A

写真4 多くの人でにぎわう御宿の浜辺A

2-3. 御宿10:44発243M安房鴨川行

御宿駅に入線する243M列車

写真5 御宿駅に入線する243M列車
 御宿をたち、一路終点安房鴨川まで向かう。御宿の出て間もなくすると勝浦駅だ。ここから先へ向かう列車は一時間に一本程度なので注意したい。外房線の車窓から海がよく見えてくるのは勝浦から先で、風光明媚な車窓が広がりだす。この区間を乗る機会があれば、是非海側(安房鴨川方を見て左側)の席に座っていただいてその風景を楽しんで頂きたい。

2-4. 安房鴨川11:19着

ここから先は内房の鉄路が続く

写真6 ここから先は内房の鉄路が続く
柱にはこのような看板も

写真7 柱にはこのような看板も
 御宿から30分ほど乗れば終点の安房鴨川駅だ。外房線の終着駅であるが先に内房線の前身である北條線が当駅から開通している。有名な「鴨川シーワールド」へは無料送迎バスで行ける。駅出て右側にある観光案内所では、レンタサイクルのサービスを行っているのでこれで街を巡るのが快適で良いかもしれない。「おらが丼」と呼ばれる、出す店によって丼の具が大きく異なる丼料理をはじめ、地魚料理などの食を満喫できるため、この地で昼食をとると良いかもしれない。少なくとも筆者はそうした。


3. 復路(安房鴨川→千葉)

3-1. 安房鴨川12:58発266M千葉行

安房鴨川駅で発車を待つ266M列車

写真8 安房鴨川駅で発車を待つ266M列車
 ここからは復路として千葉を目指すがこのまま真っ直ぐは帰らない。勝浦海中展望塔をご存じだろうか。かつうら海中公園内にあるこの施設は地上24m、水深8mある海中展望塔であり、勝浦の豊かな海を海中から眺めることができる施設だ。高いところから街を眺める展望塔、タワーは数あれど、海の中を覗く海中展望塔は数少ない。勝浦海中展望塔は東京から一番近い位置にあるため、訪れやすい海中展望塔だ。外房線沿線の中でも特記すべき施設であるため、実際に行ってみることとする。海中展望塔のあるかつうら海中公園は鵜原駅が最寄りであるため、266Mに乗って一路鵜原を目指す。

3-2. 鵜原13:22着

夏空の下に佇む鵜原駅

写真9 夏空の下に佇む鵜原駅
 鵜原駅は海岸から少し奥まった起伏の激しい地に佇む駅だ。ここからいくつかのトンネルをくぐりながら、徒歩15分ほどでかつうら海中公園に到着する。前項で紹介した海中展望塔の他、無料休憩所で旅の小休憩もでき、レストラン、県立の「海の博物館」もあり、かなり楽しめる公園となっている。外房線沿線の中でも随一の観光地なので、近くを訪れた時には行ってみてはいかがだろうか。
海中展望塔への道

写真10 海中展望塔への道
公園から望む美しい海

写真11 公園から望む美しい海

3-3. 鵜原15:20発274M千葉行

 鵜原から普通列車に乗り千葉へと帰路に就く。ボックスシートの車両はいっぱいとまではいかなかったが、がらんどうとしたロングシート車と比べると乗客が集中していた。鵜原からは大原、上総一ノ宮、茂原、大網と主要駅を後にし、一直線に千葉駅へと帰還した。


4. おわりに

 途中下車した駅、すなわち紹介した駅および駅周辺は、筆者の独断と偏見になってしまっているが、魅力の多い路線の南側の駅に絞って下車を行った。東京湾側を走る内房線と双璧をなす外房線。メディアなどでは内房沿線がよく紹介されているが、外房沿線も負けてはいない。一宮の海岸、御宿の月の砂漠、勝浦の朝市に漁港に海中公園…、本記事で取り上げたのは外房線とその沿線の魅力の一部である。つたない記事であったかと思うが、本記事をきっかけに外房線に魅力を感じていただければ幸いである。


参考文献
  • 「小型全国時刻表」、交通新聞社、2015年
  • 「学研の大図鑑JR全線・全駅舎 東日本編」、学習研究社、2003年
  • 御宿町観光協会:「一般社団法人 御宿町観光協会 公式ホームページ」、http://onjuku-kankou.com/、2015年8月参照
  • かつうら海中公園海中展望塔:「かつうら海中公園海中展望塔」、http://www.katsuura.org/、2015年8月参照


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