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〜 我が地元を通る
東京メトロ8000系について 〜


交通システム工学科3年 3119番 M.F

1. はじめに

 私がこの記事を書こうと思った経緯は、今回のEXPRESSの特集が「地元の車両」であり、「東京メトロ8000系」は筆者の最寄り駅である「住吉」駅を通るからである。この車両は現在に至るまでに大きな変化を遂げている。この記事では、車両の変遷などを中心にピックアップしていきたい。


2. 概要

 東京メトロ8000系(以下、「8000系」と称する)は東京メトロ半蔵門線の車両であり、1980(昭和55)年から1994(平成6)年にかけて19編成が製造された。8000系は、千代田線の6000系や有楽町線・副都心線の7000系の設計思想を踏襲し、将来の社会的ニーズに対応する点と、技術的進歩を取り入れる点に重点を置いて製造された。前面の形状は、6000系・7000系車両のデザインをベースに、前面傾斜部をヘッドライトの下まで延ばし、大形の窓を採用することにより、運転士の前方視界を確保している。軌間は1067mm、車両長は20.0m、編成両数は全て10両である。また、かつては一部の編成が東西線で運用された事がある。
東京メトロ8000系 2014.03.27 住吉にて

写真1 東京メトロ8000系 2014.03.27 住吉にて


3. 運用区間

 東京メトロ8000系は、図1のように東急田園都市線の中央林間駅から東武日光線の南栗橋・東武伊勢崎線の久喜駅までと運用区間が広い。
8000系の運用区間

図1 8000系の運用区間


4. 車両における2つの時代

4-1. チョッパ車時代(改造前)

 8000系は、導入当初AVFチョッパ制御方式を採用していたが、順次VVVF改造された。最後のチョッパ車となった第10編成では、2015(平成27)年3月23日から一部中間車に「さよなら!電機子チョッパ制御車」ラッピングを施して運転され、同年4月26日に最終運転となった。

4-2. VVVF改造車時代(改造後)

 東京メトロは、より快適な車内サービスを提供することと、車両を持続させることを目的として8000系に更新工事を行った。その一環として制御装置のVVVF改造が行われ、車両のMT比が6M4Tから5M5Tに変更されたほか、ドア窓の大型化、3色LED表示の車内案内表示器の設置、車内の塗装を明るいアイボリー色に変更するといった工事が行われた。2013年以降の更新車では、蛍光灯にLEDを採用しており、車内案内表示器は2画面LCD表示のものが設置されている。また、一部の車両では、丸ノ内線用02系のVVVF制御車に搭載されつつある、「パッとビジョン」と呼ばれる表示器が搭載されている。
パッとビジョン 2015.07.30 撮影

写真2 パッとビジョン 2015.07.30 撮影
 改造前から変化していないのが、「爆弾ドア」である。大きな音とともに勢いよくドアが開く様子からこの名前が付いた。これは初期に製造された車両に搭載されている。

5. 今後の動向

 これからの8000系は、全編成が更新工事を受け、現役として10年以上活躍するのではないかと考えられる。また、車内案内表示器は、現在3色LED表示のものがパッとビジョンに置き換えられていくのではないかと思われる。沿線民の利用者として、レトロ感や風情もありつつ、更に便利な車両に進化していく事を願い、今後の活躍に期待したい。


参考文献
  • 帝都高速度交通営団:「東京地下鉄道半蔵門線建設史 渋谷〜水天宮前」、帝都高速度交通営団、p.782、1999年
  • 東京メトロ:「半蔵門線8000系」、http://www.tokyometro.jp/corporate/enterprise/passenger_rail/cars/working/hanzomon_8000/、2015年8月参照


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