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〜 ひたちなか海浜鉄道の車両 〜

交通システム工学科1年 5106番 K.F

1. 路線概要

 ひたちなか海浜鉄道は、茨城県ひたちなか市の勝田駅から阿字ヶ浦駅を結ぶ路線で、地元の人からは湊線と呼ばれている。駅数は計10駅で路線距離は14.3kmである。この路線は2008年(平成20年)4月1日から、それまで経営を行っていた茨城交通と、現在湊線を引き継いで経営を行っているひたちなか市が出資する第三セクター方式として再出発し、利用客の増加を基にサービス向上や通学定期の値引きなどの経営努力を行い黒字化目前までになった。しかし、2011年に起きた東日本大震災により輸送人員は減少してしまった。現在では、震災前の輸送水準までの回復を目指している。


2. 車両紹介(在籍車両)

2-1. キハ3710型

 ひたちなか海浜鉄道で主に運行されているキハ3710型は、茨城交通の自社車両としては昭和35年に登場したケハ600型以来の新造車両で、新潟鉄工所(現、新潟トランシス)製の軽快気動車(軽快DC)である。まず平成7年に01型、続いて平成10年には02型が導入された。この車両は湊線初の冷房車で、車内はすべてロングシートで定員は座席55人、立席68人の計123人である。車体長は18.5mで、後ドア付近に車いすスペースが確保されている。さらに、平成21年度に開催された「車両デザインコンテスト」で最優秀賞の「曙光の大地」が採用され、2両共に平成22年からそのデザインで運行されている。2014年10月から02型が「デュエマラッピング列車」となって運行されている。
キハ3710形01型(旧塗装)

写真1 キハ3710形01型(旧塗装)
キハ3710形01型

写真2 キハ3710形01型
キハ3710形02型

写真3 キハ3710形02型

2-2. キハ37100形

 キハ3710形と同様茨城交通の自社車両として、平成14年に導入された。車両形状はほぼキハ3710形と同じだが、ブレーキの二重化がされており安全面をより意識した構造になっている。また、サービス面の向上として車内にLED式案内表示器が搭載されている。現在は1両のみ在籍しており、ひたちなか海浜鉄道の主力車両として活躍している。平成22年4月25日には、ひたちなか海浜鉄道発足2周年を記念して「アニマルトレイン」として運行されている。
キハ37100形(旧塗装)

写真4 キハ37100形(旧塗装)
キハ37100形(アニマルトレイン)

写真5 キハ37100形(アニマルトレイン)

2-3. ミキ300形

 ミキ300形は、平成10年に富士重工で製造され、兵庫県の三木鉄道で使われていたが平成20年に同鉄道が廃止となり、翌年の平成21年6月に1両がひたちなか海浜鉄道に搬入され、8月に営業運転を開始した。車内はセミクロスシートになっている。その他は、前面の方向幕の変更が行われた以外、車番、外装、走行機器は当時の三木鉄道のままになっており、週末を中心に運行されている。
ミキ300形

写真6 ミキ300形

2-4. キハ2000形(2004、2005)

 キハ2004形は、昭和41年に新潟鉄工所で製造された広幅車で、昭和44年に北海道の留萌鉄道から譲り受けた車両である。車内は、タイムスリップしたかのような板張りの床になっており、正面のヘッドライト脇のタイフォンが特徴的である。この車両は、1992年のワンマン化改造が施された以外大きな変化はなかったが、2005年に茨城交通塗装から国鉄準急色に変更され、週末やイベント時期を中心に運行されている。
 キハ2005形は、昭和41年に東急車輛で製造された広幅車で、2004形と同様留萌鉄道から譲り受けた車両である。車内や特徴は2004形とほぼ同じだが、2010年に茨城交通塗装から国鉄急行色に変更されている。
キハ2005形

写真7 キハ2005形
キハ2004形

写真8 キハ2004形

2-5. キハ222形

 キハ222形は、昭和37年に富士重工で製造され北海道の羽幌炭礦鉄道が導入したが、昭和45年に羽幌炭礦鉄道が廃止となり、翌年の昭和46年に茨城交通(現、ひたちなか海浜鉄道)に移籍した。この車両はワンマン化改造が施されており、運転台の窓に雪国の車両のシンボルともいえる雪よけの旋回窓が取り付けられているのが特徴である。週末やイベント時期を中心に運行されていたが、車両の老朽化で故障が多発した。このため、平成26年12月で第一線から退き臨時列車として運行されたが、翌年の平成27年5月にて運行を終了した。
キハ222形

写真9 キハ222形

2-6. キハ205形

 キハ205形は、昭和40年に帝国車両で製造され国鉄キハ20形として小牛田機関区で在籍した。その後、平成2年に岡山県の水島臨海鉄道で運行を開始するも新型車両の導入に伴い平成8年2月に茨城交通に移籍し、8月にワンマン化改造を施した。この車両は、角型の全照灯を運転台に2基設置されているのが特徴で、床はノリウム、冷房付きの車両である。現在は、旧国鉄標準色に塗り替えられ週末やイベント時期を中心に運行されている。
キハ205形

写真10 キハ205形


3. 車両紹介(新型車両)

 ひたちなか海浜鉄道は、平成27年4月22日に旧型気動車の老朽化の代替としてJR東海、東海交通事業からキハ11系を購入した。キハ11系は、昭和63年に製造が開始され高山本線で使用されていた。しかし、2015年のダイヤ改正に伴いキハ25系が導入されキハ11系は置き換えられた。その後、一部の車両はミャンマーへ譲渡され、キハ11系−123、203、204の3両が今回ひたちなか海浜鉄道に導入されることとなった。5月17日に開催された、ひたちなか海浜鉄道7周年記念イベントでは車内見学が行われた。現時点での運用開始日や車両デザインは未定であるが、那珂湊駅構内にある機関区で自動列車停止装置等の整備後、試運転を行う予定である。
キハ11系

写真11 キハ11系


参考文献
  • ひたちなか海浜鉄道株式会社:「車両情報」、http://www.hitachinaka-rail.co.jp/train/ 、2015年8月参照
  • ひたちなか海浜鉄道株式会社:「営業車両の購入について」、http://www.hitachinaka-rail.co.jp/wp-content/uploads/2015/05/3c829f1b84b4af226872cf72e918c072.pdf、2015年5月参照
  • ひたちなか海浜鉄道株式会社:「ひたちなか海浜鉄道について」、http://www.hitachinaka-rail.co.jp/about/、2015年8月参照
  • 日本の旅・鉄道見聞録:「ひたちなか海浜鉄道車両一覧」、http://www.uraken.net/rail/chiho/ibaraki.html、2015年8月参照
  • Netrain plus:「ひたちなか海浜鉄道」、http://netrain.makibisi.net/trainphoto/ibaraki/ibaraki/、2015年8月参照
  • 朝日新聞デジタル:「さようなら「キハ222」 ファン、引退惜しむ」、http://www.asahi.com/articles/ASGD6321BGD6UJHB002.html、2014年12月参照
  • 朝日新聞デジタル:「半世紀前の車両、惜しまれつつ引退 ひたちなか海浜鉄道」、http://www.asahi.com/articles/ASGC765DGGC7UJHB011.html、2014年11月参照
  • 乗りものニュース:「ひたちなか海浜鉄道、JR東海からディーゼルカーを購入」、http://trafficnews.jp/post/39945/、2015年5月参照


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