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〜 特急「わかしお号」・「さざなみ号」
in 海浜幕張駅 〜


交通システム工学科3年 3003番 K.A

1. 概要

 2015年3月14日のダイヤ改正で、特急「わかしお号」・「さざなみ号」の輸送体系が見直された。本記事では、筆者の最寄り駅である海浜幕張駅から見た特急「わかしお号」・「さざなみ号」の変化について論述する。

1-1. 特急「わかしお号」・「さざなみ号」の概要

 特急「わかしお号」とは、東京都千代田区の東京駅から千葉県鴨川市の安房鴨川駅をJR京葉線・JR外房線経由で結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の特急列車である。1972年7月15日より営業運転を開始した。東京駅〜上総一ノ宮駅間、東京駅〜勝浦駅間の区間運転列車も存在する。
 特急「さざなみ号」とは、東京都千代田区の東京駅から千葉県君津市の君津駅をJR京葉線・JR内房線経由で結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の特急列車である。特急「わかしお号」に同じく、1972年7月15日より営業運転を開始した。現在、区間運転列車は存在しない。
 両者共に、走行区間は東京駅〜千葉みなと駅間が「電車特定区間」、全区間が「東京近郊区間」に含まれており、乗車券・定期券としてSuicaが使用できる。乗車には乗車券・特急券の他、特急券が必要である。但し、勝浦駅〜安房鴨川駅間を普通列車として運転する列車は同区間の特急券は不要である。
 2015年度のゴールデンウィークの利用状況は特急「わかしお号」が71.4万人で前年比102%、特急「さざなみ号」が17.6%で前年比71%である。

1-2. 海浜幕張駅の概要

 海浜幕張駅とは、千葉県千葉市美浜区にある東日本旅客鉄道(JR東日本)の駅である。1986年3月3日に開業した。幕張新都心の玄関口となっている。先述した特急「わかしお号」の他、JR京葉線(各駅停車・快速)と朝夕ラッシュ時のみだがJR武蔵野線(各駅停車)が停車する。JR京葉線の通勤快速は当駅を通過する。各駅停車「しもうさ号」は大宮駅始発の電車が最長当駅まで乗り入れるが、当駅から大宮駅終着の電車は存在しない。また、JR外房線・JR内房線・JR東金線(土休日のみ)直通列車も利用できる。エコステのモデル駅として改良工事を行い、2013年9月にリニューアルされた。
 当駅にはJR京葉線の途中駅として唯一特急列車が停車する。停車時間帯は限られており、下りは初電〜17:00、上りは11:00〜終電である。後述するが、2015年3月14日のダイヤ改正で特急「さざなみ号」の全列車が当駅を通過するようになった。
海浜幕張駅の駅名標

写真1 海浜幕張駅の駅名標
 当駅は配線の都合上、駅構造に問題点がある。当駅の乗り場は表1のようになっているが、曜日や時間帯によって、乗り場が異なる。土休日のデータイムでは、東京方面からの全ての各駅停車が当駅で折り返すため、一部のJR京葉線上り列車が下りホームから発車する。また、JR武蔵野線は列車によって発着番線が異なる上に、朝夕ラッシュ時にしか停車しないため、それ以外の時間帯(朝夕ラッシュ時の一部時間帯を含む)は当駅でJR京葉線上り列車に乗車して、南船橋駅または市川塩浜駅で乗り換えなければならない。

表1 海浜幕張駅の乗り場

番線

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行き先

1・2

JR京葉線〈下り〉

千葉みなと・蘇我方面

2・3・4

JR京葉線〈上り〉

南船橋・舞浜・新木場・東京方面

2・3

JR武蔵野線〈上り〉

南船橋・西船橋・新松戸・府中本町方面

1

特急「わかしお号」〈下り〉

蘇我・大網・茂原・安房鴨川方面

4

特急「わかしお号」〈上り〉

東京方面



 2013年度の乗車人員は59,515人である。これはJR東日本管内で第72位であり、JR京葉線内では東京駅、舞浜駅、新木場駅に続き第4位である。
 駅周辺には幕張メッセやQVCマリンフィールドがあり、観光地となっている。また、2013年12月20日にはイオンモール幕張新都心が開業し、当駅を利用して訪れる客が多い。写真2のようにプラットホームからコンコースへ向かう階段・エスカレーターや改札口から見えやすいところに駅周辺施設の広告を出しており、出口やバス乗り場の案内をしている。
コンコースの観光地案内

写真2 コンコースの観光地案内

2. 2015年3月14日ダイヤ改正に伴う動き
2014年3月15日改正の特急「わかしお号」・「さざなみ号」の時刻表・編成

別紙1 2014年3月15日改正の特急「わかしお号」・「さざなみ号」の時刻表・編成
2015年3月14日改正の特急「わかしお号」・「さざなみ号」の時刻表・編成

別紙2 2015年3月14日改正の特急「わかしお号」・「さざなみ号」の時刻表・編成

 JR東日本は2015年3月14日のダイヤ改正で、特急「わかしお号」・「さざなみ号」の運行体系を見直した。沿線人口の減少や高速道路網の充実、新たな高速バス路線の運行などで利用客が減少しているため、運転の取止めや運転区間の見直しを行われた。

2-1. 特急「わかしお号」の動き
  • データイム時に1往復の運転を取りやめた。
  • 一部の列車の運転区間が短縮された。
  • 勝浦駅〜安房鴨川駅間を普通列車として運転する列車が17号、21号のみとなった。
  • 2号を除き、E257系500番台での運行に統一された。
  • 一部の列車の車両数が短縮された。

2-2. 特急「さざなみ号」の動き
  • 上下4本の運転を取りやめた。
  • 下りは平日夕ラッシュ、上りは平日朝ラッシュ時のみの運行となった。
  • 東京駅〜君津駅間のみの運行となった。
  • E257系500番台での運行に統一された。
  • 4号を除き、全て5両編成での運行となった。
  • 全ての車両が自由席となった。

2-3. 海浜幕張駅への影響
  • 全ての特急「さざなみ号」が通過となった。
  • 停車本数が削減された。
  • 255系で運行する列車が全て通過となった。

2-4. その他
  • 東京駅発車番線が地下京葉1番線に統一された。


3. 特急「わかしお号」・「さざなみ号」の使用車両

 現在、幕張車両センター所属の255系とE257系500番台が使用されている、前者は9両編成であり、特急「わかしお2号」のみで使用されている。後者は5両編成であり、2編成連結して10両編成で運行されることもある。
255系

写真3 255系
E257系500番台

写真4 E257系500番台


4. 海浜幕張駅の設備

 当駅のホームには、発車メロディーを鳴らすスイッチが多数存在する。特に2番線は上下両方向への発車が可能であるため、他の番線に比べてかなり多い。これは両数や車両全長の異なる列車が数多く発着するためである。現在、普通列車は8、10両編成の2種類が存在し、特急列車は5、9、10両編成の3種類が存在する。普通列車、特急列車共に10両編成が存在するが、車両全長が異なるため、それぞれ別の発車メロディーを鳴らすスイッチが用意されている。
 また、普通列車と特急列車のドアの位置が異なるため、特急列車専用の乗車口表示が設置されている。写真5の左側はE257系500番台の乗車口表示、右側は255系の乗車口表示である。
海浜幕張駅の特急列車の乗車口表示

写真5 海浜幕張駅の特急列車の乗車口表示
 当駅の3・4番線ホーム上には東京駅までの自由席特急券のみを販売する券売機が設置されている。東京駅の特急列車が停車する時間帯のみ利用できる。いつ頃から稼働しているかは不明だが、普通列車グリーン券券売機に比べるとSuicaに対応していない等、古臭い印象を受ける。
海浜幕張駅ホーム上の自由席特急券うりば

写真6 海浜幕張駅ホーム上の自由席特急券うりば

5. おまけ

 動画1は筆者が2015年2月17日に撮影した、海浜幕張駅を発着する特急「わかしお号」・「さざなみ号」の発車シーン等である。現在のダイヤでは見ることのできない、255系の発車シーンや特急「さざなみ号」館山ゆきの電光掲示板・行先表示器などが記録されている。動画は約11分と長いが、お時間のあるときに見ていただきたい。
特急「わかしお号」・「さざなみ号」 in 海浜幕張駅

動画1 特急「わかしお号」・「さざなみ号」 in 海浜幕張駅


参考文献
  • JR東日本:「2015年3月ダイヤ改正について」、http://www.jreast.co.jp/press/2014/20141222.pdf、2015年2月参照
  • JR東日本千葉支社:「2015年3月ダイヤ改正について」、http://www.jreast.co.jp/chiba/news/pdf/pre1412_timetable.pdf、2015年2月参照
  • JR東日本:「時刻表」、http://www.jreast-timetable.jp/、2015年2月・5月参照
  • JR東日本:「各駅の乗車人員」、http://www.jreast.co.jp/passenger/、2015年5月参照
  • JR東日本千葉支社:「千葉を走る列車」、http://www.jreast.co.jp/chiba/railinfo/train/、2015年2月・5月参照
  • JR東日本千葉支社:「ゴールデンウィーク期間のご利用状況について」、http://www.jreast.co.jp/chiba/news/pdf/pre1505_gw-riyou.pdf、2015年5月参照


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