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〜 E233系1000・6000番台について 〜

交通システム工学科2年 4066番 Y.T

1. 概要

 今回のEXPRESSの記事の特集テーマが『地元の車両』ということなので、私の地元の路線であるJR京浜東北・根岸線を走るE233系1000番台・6000番台についてそれぞれ特集する。またE233系1000番台は京浜東北線、6000番台は横浜線から根岸線へと直通している車両である。

1-1. E233系電車の主な概要

 E233系電車は、中央快速線・京浜東北線・常磐緩行線・東海道線・京葉線・横浜線・埼京線・南武線などで運用されていた通勤型車両[201系・203系・205系・207系・209系]・近郊型車両[211系]の置き換えを目的に開発された車両である。本系列の開発おいてのコンセプトは『故障に強い車両』・『人に優しい車両』・『情報案内機能等を向上した車両』・『車体強度の向上』の4つであり、機器系統の二重化・列車情報管理システム(TIMS)の伝送速度向上、ユニバーサルデザインの取り入れ、ステンレス部分の厚みを従来の車両(209系やE231系など)よりも少し増やし、側面衝突時の強度が向上したこと、前面(運転室部分)においてクラッシャブルゾーンの取り入れたことによる安全性の確保などにより開発コンセプトを達成している。またJR東日本が製造した車両としては過去最多数であり、1900両以上製造されている。E233系は2006年の中央快速線への投入を皮切りに、2015年現在も南武線205系・209系の置き換えを目的に8000番台が製造中である。
E233-8000

写真1 E233-8000

1-2. E233系1000番台について

 E233系1000番台は209系0・500番台の置き換えを目的に2007年から2010年の間に870億円をかけて合計830両が投入された。その結果、2010年1月をもって209系0番台(780両)、500番台(50両)の置き換えを完了した。
 全車が浦和電車区に投入されたが、2015年3月、浦和電車区が運輸部門と研修部門に分けられ、研修部門がさいたま車両センターに改称したため、所属表記が浦和電車区所属を表す『宮ウラ』からさいたま車両センター所属を表す『宮サイ』に変更された。
E233-1000

写真2 E233-1000
宮ウラ表記と宮サイ表記

写真3 宮ウラ表記と宮サイ表記
 京浜東北線内全線がD-ATC(自動列車制御装置)方式を使用しているため、保安装置にD-ATCを搭載している。0番台との主な違いは、前面帯の配置位置・列車番号表示機の配置位置、車内のLCDの大きさが17インチへと変更されている点である。
E233-0・1000

写真4 E233-0・1000
 編成構成は大船方(1号車)より
クハE232-1000・モハE232-1200・モハE233-1200・モハE232-1000・モハE233-1000サハE233-1000・モハE232-1400・モハE233-1400・サハE233-1200・クハE233-1000
の6M4Tで構成。(M:モーター車、T:トレーラー車を表す。(モハE233形-1000番台に予備パンタグラフを搭載))。
 最近の動向としては、
  • ウラ101編成の室内のLED照明化
  • 2013年より線路設備モニタリング装置をウラ109編成に搭載
  • 大井町駅のホームドア導入・山手線内におけるホームドアに合わせるため、全車を対象にTASC装置の準備工事開始
などがあげられる。
 ウラ177編成を除く820両が2015年8月現在、運用されている。

1-3. E233系6000番台について

 E233系6000番台は205系0番台の置き換えを目的に2014年1月より投入、2月より営業運転を開始した。2014年8月の205系H1編成の運用離脱にともない、205系28編成合計224両の置き換えが完了した。全車が鎌倉車両センターに所属している。横浜線内がATS-P(自動列車停止装置)方式、京浜東北線内がD-ATC方式を使用しているため、保安装置にATS-P、D-ATCを搭載している。
E233-6000

写真5 E233-6000
 従来のE233系との相違点(1000番台と比較)は
  • リニアモーター式のドアエンジンを搭載
  • 屋根上のラジオアンテナの廃止
  • 車内はLED照明を採用
  • 側面や前面に「YOKOHAMA LINE」のロゴ入り
  • 先頭車の運転室とドアの間の部分に編成ごとにそれぞれ違う駅スタンプが入っている
が主にあげられる。
屋根上の比較

写真6 屋根上の比較
左側が6000番台、右側が1000番台の屋根上
側面/前面のロゴ

写真7 側面/前面のロゴ
駅スタンプ一例

写真8 駅スタンプ一例
 車両に描かれているケヤキの葉のデザインは横浜市・相模原市・町田市が市の木をケヤキと定めていることによるもので、駅スタンプは八王子駅―東神奈川駅の20駅と根岸線横浜駅―磯子駅・大船駅の8駅、合計28駅の周辺をイメージしたものが描かれている。駅スタンプやケヤキの葉のロゴを車両に入れた理由としては、JR東日本横浜支社が独自に行っている横浜線活性化プロジェクト「横浜線よくするプロジェクト」の一環で行われたことがあげられる。
 6000番台の編成構成は東神奈川方(1号車)より
クハE232-6000・サハE233-6000・モハE232-6000・モハE233-6000
サハE233-6000・モハE232-6400・モハE233-6400・クハE233-6000
の4M4Tで構成。(モハE233形-6000番台に予備パンタグラフを搭載)
 また、2014年2月12日に横浜線E233系の展示会が小机駅と町田駅の両駅で行われた。その際に営業運転開始時につけるヘッドマークや普通の運用では見ることができない方向幕が表示されていた。
東神奈川よりHM

写真9 東神奈川よりHM
方向幕1-4

写真10 方向幕1-4


2. 1000番台と6000番台の性能比較

 E233系1000番台と6000番台の性能面において比較をする。

表1 1000番台と6000番台の性能比較

番台区分

起動加速度

減速度

保安装置

無線設備

E233-1000

2.5km/h/s

5.0km/h/s

D-ATC

デジタル無線・無線LAN

E233-6000

2.1km/h/s

5.0km/h/s

ATS-P/D-ATC

デジタル無線・WiMAX


 なお、消費電力量は209系0番台(4M6T)と比較すると約10%増大している。これはE233系1000番台の構成が6M4Tと電動車比率が上がったこと、編成重量が209系と比べ増大したことが原因と考えられている。また205系と比較すると約70%の消費電力で走行することができる。


3. おまけ

 JR根岸線を走る車両は以上の2車種だけでなく、貨物列車も多く走っている。
 これはJR根岸駅付近にあるJX日鉱日石エネルギー(ENEOS)の根岸製油所からENEOS・日本オイルターミナルの油槽所へ発送しているからである。根岸駅構内の貨物専用線は34線あり、入れ替え作業を担当しているのは神奈川臨海鉄道である。(一部の線を除く)この駅から発着する貨物はタキ1000を中心としたタンク車が多く占めている。
根岸駅構内

写真11 根岸駅構内


参考文献
  • JR東日本:「秋田新幹線用車両と埼京線・横浜線用車両の新造について」、https://www.jreast.co.jp/press/2012/20120404.pdf、2015年8月参照
  • JR東日本:「京浜東北・根岸線に新型車両を導入」、https://www.jreast.co.jp/press/2006_1/20060901.pdf、2015年8月参照
  • 神奈川新聞:「鉄道コラム前照灯(211) 鉄道カルタ」、http://www.kanaloco.jp/article/72521、2015年8月参照
  • 神奈川新聞:「JR横浜線新型車両、14年2月16日に運転開始、ヘッドマーク4種期間限定取り付け」、http://www.kanaloco.jp/article/70661、2015年8月参照
  • 4号車の5号車寄り:「E233系鎌倉車両センター編成表(最新版)」、http://tx-style.net/jr/4179.php、2015年8月参照
  • 4号車の5号車寄り:「E233系さいたま車両センター編成表(最新版)」、http://tx-style.net/jr/4103.php、2015年8月参照
  • 交友社:「京浜東北・根岸線E233系主要諸元」、『鉄道ファン』、p.57、2007年12月
  • 交友社:「E233系6000番台主要諸元表」、『鉄道ファン』、p.57、2014年5月


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