交通システム工学科3年 3080番 T.S |
2015年3月14日に、JR東日本の一大プロジェクトである「上野東京ライン」が開業し、宇都宮線・高崎線と東海道線との相互直通運転、また常磐線の品川駅までの乗り入れが開始された。それに伴い、それまで宇都宮線には原則として乗り入れていなかった、国府津車両センター所属のE231系・E233系が宇都宮線内でも日常的に見られるようになったり、E231系とE233系の車両運用が共通化されたことにより、別形式同士の併結運転も行われるようになったりした。 この他にも、筆者の出身地である栃木県内を見てみると、宇都宮線(宇都宮〜黒磯間)や日光線などで車両の世代交代があり、数年前とは顔ぶれがまるで変わってしまった。そこで、これらの路線における車両などの近況について、筆者の実家の最寄り駅である宇都宮駅での様子を中心にまとめてみたいと思う。 この区間における最大の転機といえば、やはり上野東京ラインの開業であろう。開業前日までの上り列車は上野行きばかりであったのが、熱海行きや小田原行きなど、東海道線方面の行先ばかりに様変わりしてしまった。以前から毎時1〜2本走っている湘南新宿ラインの逗子行きや大船行きと合わせても、神奈川県や静岡県の地名がほとんどであり、行先だけを見ているとここがどこなのか分からなくなってしまいそうだ。 ![]() ![]() ![]() 宇都宮線から横須賀線に直通する湘南新宿ラインの列車については、従来通り小山車のみが使用されているなど、国府津車と小山車の運用は基本的には分けられているようだが、輸送障害発生時などには運用変更が発生し、国府津車が小山車の運用に、また、小山車が国府津車の運用に入ることがある。これは、双方の車両の仕様が基本的に共通であることによる利点といえるだろう。 この区間で折り返し運転を行う列車には、高崎車両センター所属の211系が主に用いられていたが、2013年8月からは京葉車両センターや川越車両センターから転属してきた205系へと順次置き換えられた。2014年3月15日のダイヤ改正時点では、宇都宮線の運用に入る211系は2本まで減り、同年3月25日には全ての211系が宇都宮線から退いた。 最後まで残った211系2本のうち1本は、高崎所属の211系の中で唯一前面の種別表示が幕式であるA36編成であり、引退直前のダイヤ改正で登場した烏山線の新型車両「ACCUM」ともわずかな期間ではあるが共演を果たした。 宇都宮線向けの205系は、当初の計画では4両編成と6両編成の2パターンの編成が組まれる予定であったが、計画の変更により全て4両編成となった。5両編成の211系の運用をそのまま置き換えた形であるため、朝の2編成を連結して走る運用も5両+5両の10両編成から4両+4両の8両編成と2両減車されることになり、特に宇都宮方面へ向かう上り列車の混雑が悪化してしまう結果となった。 ![]() 日光線では2013年3月に、107系から205系へとバトンタッチした。こちらは宇都宮線とは異なり、107系の2両編成8本(16両)が、205系の4両編成4本(16両)に一斉に置き換えられた。編成数が減少したため、2両編成で運行していた宇都宮〜鹿沼間の列車などが廃止され、ダイヤも大きく変わった。反対に、朝夕のラッシュ時間帯に6両編成で運行していた列車も4両編成となったため、列車や乗車位置によっては激しい混雑となっている。 ![]() 烏山線では2014年3月に、新型の蓄電池電車「ACCUM」ことEV-E301系が1本導入された。ただ、これによる従来のキハ40系の廃車などはなく、「ACCUM」の点検時などはキハ40系が代走に入る。2016年度以降に「ACCUM」を増備する計画があり、いよいよキハ40系も置き換えられていく可能性がある。今や関東のJR線で唯一残る国鉄形気動車となった烏山線のキハ40系。早めに乗車されてみてはいかがだろうか。 ![]() 現在、東北本線は黒磯駅構内で交流と直流が分けられており、黒磯以北(白河・郡山方面)は交流、黒磯以南の「宇都宮線」区間は直流となっている。そのため車両も、黒磯駅を境として交流対応・直流対応とで分けられているが、交流と直流のセクションを黒磯駅北側に移設する計画が進んでいる。黒磯から白河方面へ向かう列車には交流と直流の双方に対応した車両を用いる必要があり、この車両の登場により車両運用にも大きな変化が予想される。栃木県内における世代交代ラッシュの締めくくりになると思われるため、今後も注目していきたいと考えている。
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