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〜 静岡鉄道「1000形」 〜

交通システム工学科3年 3116番 Y.H

1. 静岡鉄道の概要

 静岡鉄道とは、1908年に開業した静岡県静岡市葵区の新静岡駅から清水区の新清水駅を結ぶ路線長11kmの鉄道である。通称「静鉄(しずてつ)」と呼ばれている。新清水〜新静岡までの15駅全区間が複線であり、3ドア2両編成の1000形車両が用いられている。駅のホームには転落防止用の柵が設置されている。短編成ではあるものの、日中は6〜7分間隔で電車が来るので待ち時間が少ないという利点がある。写真‐1は新静岡駅の時刻表を示している。
新静岡駅 時刻表

写真1 新静岡駅 時刻表
 静鉄には普通列車の他に平日のみ運行する新清水方面の急行列車、新静岡方面の通勤急行列車がある。1996年4月に急行列車は一度廃止されたが、2011年10月のダイヤ改正で急行列車の復活と同時に通勤急行列車が導入された。各列車の停車駅と所要時間を別紙1に示す。
各列車の所要時間と停車駅

別紙1 各列車の所要時間と停車駅


2. 静鉄1000形車両

静鉄1000形

写真2 静鉄1000形
 1000形車両は、1973年(昭和48年)に1001編成が初導入され、1995年(昭和60年)の1012編成まで12編成が在籍している。車両は全て東急車両の製造である。クモハ1000とクハ1500でペアになっていて、クモハが新静岡寄りになっている。1000形はワンハンドルマスコンになっていて、ワンマン運転の後方確認のためミラーがついているのが特徴である。車内放送は平成9年に音声合成のものに取り換えられ、指定の位置が来ると完全に自動で放送されるようになっている。列車の出発時のベルとともに「ドアが閉まります。」と自動アナウンスが入る。車内のシートはすべてロングシートでつり革の多い通勤電車の使用となっている。前面の窓が大きいので展望には最適である。運転台の機器は時代により多少の変化をしている。
車内

写真3 車内
運転台

写真4 運転台
 静鉄にはラッピング車両がありドアステッカー、ポスターなどさまざまな広告が施されている。その中でもアニメ「ちびまる子ちゃん」のラッピング車両もある。静岡県清水市がちびまる子ちゃんの聖地ということもあり、このような静岡をPRする特別なラッピング車両も走っている。
ちびまる子ちゃんのラッピング車両

写真5 ちびまる子ちゃんのラッピング車両


3. 静鉄の新型車両

 静鉄は2016年春にデビュー予定の新型車両「A3000形」の第一編成の製造を発注したと発表した。新型車両の導入は40年ぶりであるという。「A3000形」の「A」には3つの意味が込められている。
  1. Activate(活性化する):さらなる賑わいを創出し、沿線をはじめとする静岡清水エリアを活性化すること
  2. Amuse(楽しませる):乗ること、眺めることを通じて人を楽しませること
  3. Axis(軸):静岡清水を結び、これからの静岡市が目指すコンパクトシティの軸となること
 外観カラーリングのコンセプトは「shizuoka rainbow trains 〜ひとつひとつ違う魅力を持ち、集まるとさらに魅力的になる〜」である。製造する12編成のうち7編成で異なる外観カラーを採用し、創立100周年を迎える2019年度までに7色のラインナップの完成を予定している。残りの5編成は現在の1000系と同じ銀色ベースの車両を予定している。外観カラーの名称は「Passion Red」「Pretty Pink」「Brilliant Orange Yellow」「Fresh Green」「Natural Green」「Clear Blue」「Elegant Blue」で、富士山、お茶、みかん、久能山の石垣いちごなど、7色とも静岡らしさを象徴するカラーをモチーフとしている。静鉄に色とりどりの車両を導入することで、街を鮮やかに彩り、地方都市における新しい通勤電車のシンボルとなることを目指している。
 「A3000形」の第一編成はA3001(モーター付き車両)・A3501(モーターなし車両)の2両編成である。その後も引き続き、約40年にわたり親しまれた1000形代わる新型車両として導入が進められる。「A3000形」では環境性能と安全性の向上も図られ、現行車両との比較で約50%の省エネルギー性能を追求することのことである。


参考文献
  • 静鉄ファンのページ:「静岡鉄道1000系車両について」、http://www.d1.dion.ne.jp/~htlth/shizutetsu/railway/1000.htm、2015年8月参照
  • 静鉄レールウェイ:「ダイヤ、時刻表について」、http://train.shizutetsu.co.jp/、2015年8月参照
  • 静鉄レールウェイ:「新型車両A3000形について」、http://train.shizutetsu.co.jp/color.html、2015年8月参照


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